その変更、マタニティハラスメント(マタハラ)になっていませんか??
「妊娠を理由にした降格はマタニティーハラスメントにあたり不当」だと、広島市の病院で働いていた女性が病院側を訴えた裁判で、広島高等裁判所は今月17日、病院側に対して175万円の賠償を命じる判決を言い渡した新聞記事は記憶に新しいことと思います。
「マタニティ・ハラスメント(以下マタハラ)」とは、女性従業員が妊娠・ 出産を理由とした解雇・雇止めをされることや、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的な嫌がらせ(ハラスメント)のことを言います。法律で禁止されている「妊娠・出産、育児休業等を理由として不利益取扱いを行うこと」の「理由」「不利益取扱い」とは、例えば以下のようなことを指します。
▼理由:(以下のことを理由として)
「妊娠中・産後の女性労働者に対して」
妊娠、出産・妊婦健診などの母性健康管理措置/産前・産後休業/軽易な業務への転換/つわり、切迫流産などで仕事ができない/労働能率が低下/育児時間・時間外労働、休日労働、深夜業をしない等
「子どもを持つ労働者に対して」
育児休業・短時間勤務/子の看護休暇/時間外労働、深夜業をしない等
▼不利益取扱い:(以下のようなことをしてはダメ)
解雇・雇い止め/契約更新回数の引き下げ/退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更の強要/降格・減給/賞与等における不利益な算定/不利益な配置変更・不利益な自宅待機命令/昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う/仕事をさせない、もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする等
残念ながら、厚生労働省が女性を対象に行った初の実態調査で妊娠・出産した派遣社員の48%が「マタハラを経験したことがある」と回答しており、正社員では21%が経験したという状況です。妊娠・出産した従業員に対して、業務の軽減という企業側の配慮で人事異動をする場合もあるかもしれませんが、本人同意がない場合は、マタハラとなってしまう可能性があると言えます。
企業としてはマタハラといえる状況がないかを今一度確認する必要がありますし、妊娠・出産にかかる社員の給与その他労働条件を変更する際は十分な注意が必要です。妊娠後に降格となる場合、企業は降格となることについて本人への十分な説明や同意の取り付けをし、復帰後を見据えた人事配置等について、十分に検討する必要があるといえます。
その際はお気軽にご相談ください