マイナンバー ~制度開始に伴い、企業の準備として求められること~

平成28年1月より利用が開始されるマイナンバー。その制度概要については、テレビ、新聞等で広く報じられるところであり、本HPでも以前触れさせていただきました。しかし、平成27年4月時点での調査によれば、約6割の企業が「これから対応する」としており、企業規模が小さくなるほど、認知度はまだまだ低い状況にあります。現段階で、制度開始に向け、企業の準備として必要なことをまとめました。

 

◎マイナンバーの取得、収集の準備

1.利用目的の特定

 マイナンバーの利用は、法律で決められた範囲でしか使用できません。従業員の方からマイナンバーの取得をする際には、その利用目的、具体的には「源泉徴収票作成事務」「健康保険・厚生年金保険届出事務」「雇用保険届出事務」といった目的を伝える必要があります。まず、事業所で扱うことになるマイナンバーに関する具体的事務をあらかじめ洗い出しておく必要があります。

 

2.事務担当者の選任

 マイナンバーの事務に従事する人を事前に決めて置く必要があります。マイナンバーを取り扱う方が複数人いる場合は、その責任者を選び、他の事務担当者を管理監督させるなど組織体制の整備及びそれぞれの責任を明確にします。

 

3.マイナンバー取得方法の決定

 マイナンバーを従業員の方から取得する際には、番号が間違っていないか(番号確認)とその番号の正しい持ち主であるか(身元確認)を行うことが必須です。なぜなら、他人のマイナンバーを告知してなりすましを行う行為を防ぐためです。①顔写真のついている「個人カード」(平成28年より希望者に交付)、②10月から送られる「通知カード」と運転免許証などで確認する必要があります。取得、確認の方法は、(ア)対面、(イ)書面送付、(ウ)オンラインのいずれかで行うこととされており、企業の実状に合わせ、どのような方法で行うのか検討し決定しておく必要があります。

 

◎マイナンバーの管理・保管

1.マイナンバーの保管方法の決定

 マイナンバーの記載された書類等は、特定個人情報となり、大切に保管しなければなりません。紙で保管する場合は、鍵のかかる棚や引き出しなどに、電子データを利用する際は、パスワードを設定したり、ウィルス対策ソフトを導入するなど、情報漏えいを防ぐための対策を検討しておかなければなりません。

 

2.保管期限と廃棄

 マイナンバーは、法律で決められた事務を行う必要がある場合に限り保管し続けることができるものなので、従業員の方が退職されるなどでマイナンバーの必要がなくなったら、その情報を削除しなければなりません。マイナンバーの記載された書類は、法定の保存期間を経過した後に、速やかに廃棄、パソコンに入っているデータも削除しなければなりません。

 

◎その他

 マイナンバーに対する国民の意識は、企業以上になかなか周知が進んでいません。従業員の方からマイナンバーの取得を効率的に進めるためにも、通知カードの届く時期、番号の取得収集のある予定やその目的などをアナウンスしておくとよいでしょう。

 

 制度開始への準備にあたって、企業規模や業務形態によっては、新たなシステムの構築、管理規程の策定、組織整備や研修等を行う必要性もでてきます。自社ではどこまでの措置を講じていく必要があるのか、上記ポイントを参考に対応をお考えいただければと思います。