平成31年2月15日に健康保険法など8本の法律をまとめ改正案が政府から国会へ提出されました。4月16日に衆院本会議で可決し、ほぼ成立の見込みです。改正の趣旨としては、保険者間での被保険者資格情報を一元化する仕組みの創設や電子カルテ等普及のための医療情報化支援基金の創設など多岐にわたります。この改正案において、今年4月に改正された出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」といいます)で、外国人の受け入れ拡大が見込まれることをふまえ、被扶養者等の要件に一定の例外を設けつつ「国内居住要件等」を追加する点が、企業としては特に注目すべきところではないかと思われます。
今回は、雇用した外国人は日本国内に居住し健康保険に加入するが、外国人の扶養家族は海外に居住している場合の現状の手続きの流れをご案内いたします。
まず被扶養者の要件の確認です。
対象は下記(1)(2)いずれかに該当する方です。(健康保険法3条7項)
1)被保険者の直系尊属、配偶者(事実婚含む)、子、孫および兄弟で、主としてその被保 険者により生計を維持するもの
2)被保険者の3親等内の親族で、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
このように2019年5月時点では被扶養者の居住地が日本国内か否かは、直接の要件とされていません。上記の範囲内で、かつ、被扶養者本人の年収130万円未満等の基準も同じです。
実務的な対応としては、被扶養者(異動)届に下記①②③の書類の用意が必要です。②③は外国語で書かれているときは、翻訳者の署名付きの日本語翻訳文をつける必要があります。
①現況申立書の作成、添付。(様式は、日本年金機構HPに掲載)
②身分関係の確認
被保険者との続柄が確認できる公的証明書又はそれに準ずる書類を添付します。
※直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹以外の三親等内の親族を扶養される場合は別途添付書類が必要です。
③生計維持関係の確認
(ⅰ)扶養される方の収入状況収入があるときは公的機関又は勤務先から発行された収入証明書、収入がない時はそれを証明する公的証明書又はそれに準ずる書類
(ⅱ)被保険者から扶養される方への仕送り額等送金事実と仕送り額が確認できる書類として、金融 機関発行の振込依頼書又は振込先の通帳の写し
改正案では前記(1)(2)に国内居住要件が追加される予定です。(成立した場合は、2020年4月1日施行)ただし、海外留学する子や海外赴任に同行する家族など、国内で生活し、再び日本で生活する可能性が高い者、その他厚生労働省令で定めるものについては、例外的に被扶養者として認められます。
今後も入管法の改正の影響により、他の手続き方法の変更や、別の法律が改正となる可能性がございます。新たに外国人の雇用を予定されている事業所様におかれましては、今後の動向にご留意ください。