フレックスタイム制の清算期間の延長について
2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法案」において改正されることとなった「フレックスタイム制の清算期間の延長」についてご紹介いたします。
●フレックスタイム制とは
一定期間(清算期間といい、現行では最長1ヶ月)において定められた所定労働時間の枠内で、労働者が始業・終業の時刻を自由に選べる制度のことです。清算期間を平均し、週40時間の範囲内であれば、法定労働時間内として扱うことができます。労使協定の締結が必要ですが、届出は義務づけられておりません。
●現行の課題
清算期間が最長1ヶ月であるため、1ヶ月の中での業務の繁閑には対応できますが、1ヶ月を超える期間での労働時間の調整ができませんでした。すなわち、月によって繁閑がある場合に、月をまたいだ労働時間の調整ができないことが課題であり、検討が加えられてきました。
●改正点
①清算期間を1ヶ月以内から3ヶ月以内へ延長
→3ヶ月平均で週当たりの労働時間が法定労働時間内に収まっていれば、週当たりの労働時間が法定労働時間を超える月があっても、割増賃金を支払う必要がありません。
②清算期間が1ヶ月を超える場合は労使協定の届出を義務化
③清算期間が1ヶ月を超える場合の労働時間上限の設定
→改正により、特定の月に過重労働が発生するおそれがあるため、清算期間の各月において、週平均の労働時間が50時間を超えた場合には割増賃金を支払う必要があります。
今回の改正は2019年4月より施行されます。改正により、より柔軟な働き方が可能となる一方で、過重労働を防ぐため、「労使協定の届出の義務化」と「清算期間が1ヶ月を超える場合の労働時間上限の設定」という2つの規制が設けられました。フレックスタイム制の導入を検討される際には、各要件をしっかりとご確認ください。