年の瀬、ある国会議員が育児休業の申し出を行ったことに関し、賛否が分かれています。給与面や働き方の違い、大事な一票を持つ役割を持っていることなど、国会議員を公務員や一般サラリーマンと同列に論じることはできませんが、男性の育児休業取得への抵抗感が職場や一般社会に根強く残っているのは事実であり、男性の育児休業取得率は2014年時点で2.3%と低調です。
しかし、男性の育児休業取得に関する当事務所への問い合わせが増加傾向にあり、初めての男性からの育休取得申出に戸惑う方もいらっしゃるため、男性の育児休業取得事例、中でもパパ・ママ育休プラス制度を利用する事例を紹介させていただきます。
~パパ・ママ育休プラス制度の利用条件~
1.育児休業開始日が、子の1歳に達する日の翌日以前
2.育児休業開始日が、配偶者が取得している育児休業期間の初日以後
3.配偶者が子の1歳に達する日以前に育児休業を取得している
【事例1】
母親が職場復帰(子が1歳となる日)前に父親が育児休業を開始。
母親の職場復帰時に父親が育休を取得することにより、育児と仕事の両立が始まったばかりの母親の負担が軽減されます。父親は子が1歳2ヵ月に達する日の前日まで育児休業を取得することができます。
母親の育児休業期間の上限は「出産日」「産後休業期間」「育休期間」をあわせて原則1年間ですが、父親は「育休期間」のみで原則1年間取得することが可能です。
仮に、母親が産休を終えた後すぐに育休を取得した場合、子が1歳2ヵ月になるまでの約1年間、育休を取得して育児に専念することが可能です。
【事例2】
母親の産後休業期間(産後8週)中に父親が育児休業を取得。母親の職場復帰時期にあわせ、父親が再度育児休業を開始。
育児休業は連続した1回の取得が原則ですが、父親が産後8週以内に育児休業を取得した場合に限り、父親は再度育休を取得することが可能です。(1回目の育休とあわせ、育休期間は1年以内となる必要があります。)この場合も子が1歳2ヵ月になるまでの育休取得が可能で、母親の職場復帰時期の負担軽減を図れます。
パパママ育休制度は、男性の育児休業取得を促進することを目的とされており、父親・母親ともに育児休業を取得することを条件に、育児休業の対象となる子の年齢について、原則1歳までから1歳2ヵ月までに延長されます。
近くに頼れる親族がいない場合、出産直後の入院中や母親の体力が回復するまでの期間、兄弟の世話や家事全般を夫が担うケースがあります。また、母親の職場復帰時、想像以上の大変さに職場復帰を断念せざるを得ない状況とならないためにも男性の育児参加が必要です。
平成22年6月の育児介護休業法改正以降は専業主婦を持つ夫でも育休を取得できます。「パタハラ※」だと従業員から指摘を受けないためにも、育休制度について今一度ご確認いただければ幸いです。
※「パタハラ」:パタニティーハラスメントの略。男性が育児参加を通じて自らの父性を発揮する権利や機会を職場の上司や同僚などが侵害する言動におよぶこと。