昨年に引き続き最低賃金額が上がりましたが、”最低賃金制度”をご存知ですか?
●最低賃金制度とは
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
●最低賃金の種類
最低賃金には、地域別最低賃金及び特定最低賃金の2種類があります。
なお、地域別最低賃金及び特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
●最低賃金の適用される労働者の範囲
地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されます。特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます。
●派遣労働者への適用
派遣労働者には、派遣先の最低賃金が適用されます。
●最低賃金の対象となる賃金
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。実際に支払われる賃金から一部の賃金(割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当など)を除いたものが対象となります。
●最低賃金額以上かどうかを確認する方法
(1) 時間給制の場合 ・・・これはわかりやすいですよね
時間給≧最低賃金額(時間額)
(2) 日給制の場合 ・・・ もちろん、日給者にも適用されます
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給≧最低賃金額(日額)
(3) 月給制の場合 ・・・ 注意が必要です。下回る場合散見されます!!
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。
(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合
例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。
北海道、宮城、東京、兵庫、広島の5都道県でみられた「逆転現象」(最低賃金で働いた収入が、生活保護費を下回る事)が今回の改正で解消されましたが、いまだ地域間の格差は最も高い東京と、最低の高知など7県で211円と拡大傾向にあります。こちらも何とか、解消したいものです。